日本学術会議法案に関する意見表明


2025年5月6日



 私たちは、日本労働法学会の元、前、現代表理事の立場にある者である。国会で審議中の日本学術会議法案(以下、学術会議法案)の採決が迫っているように見受けられることから、緊急に意見を述べる必要を感じ、連名で以下の意見表明を行うことにした。

 学術会議法案が2025年4月18日、衆議院本会議で趣旨説明され、国会審議が始まっている。この学術会議法案は、現行の日本学術会議法を廃止し、新たに法人としての日本学術会議を設立することを内容としている。自由で独立した学術活動の確保と発展は文化的な国家や社会の基盤をなすものであることに照らせば、どのような組織形態であっても、日本学術会議があらゆる立場から独立を保ち、自主的、自律的にその使命を果たすことが重要である。しかし、2020年の会員任命問題が未解決のままであることも背景となって、この学術会議法案の内容については、会員選考過程において会員外の者の関与を認めるなど、日本学術会議の自主性・独立性の確保の点について十分なものとなっていないとの深刻な懸念が学術会議から表明されており、私たちもこうした懸念を共有するものである。

 日本学術会議は2025年4月15日の第194回総会において、上記のような懸念を表明するとともに、立案過程においてそれらを含む学術会議の意見が十分反映されなかったことを遺憾として、国会に対し、学術会議法案の修正も含めて十分に慎重な審議を望む旨の決議及び声明を行っている。

 学術会議法案についての上記のような懸念や立案過程に照らして、私たちは、日本学術会議のこの要望を支持することを表明する。

浅倉むつ子(日本労働法学会元代表理事・日本学術会議元会員)
石田 眞(日本労働法学会元代表理事)
唐津 博(日本労働法学会元代表理事)
毛塚勝利(日本労働法学会元代表理事)
島田陽一(日本労働法学会元代表理事)
土田道夫(日本労働法学会前代表理事)
中窪裕也(日本労働法学会元代表理事)
西谷 敏(日本労働法学会元代表理事・日本学術会議元会員)
野田 進(日本労働法学会元代表理事)
浜村 彰(日本労働法学会元代表理事)
山川隆一(日本労働法学会代表理事)
和田 肇(日本労働法学会元代表理事・日本学術会議元会員)
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