第142回大会 | 日時 | 2025年11月1日(土)・2日(日) |
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会場 | 明治大学中野キャンパス | |
内容 | 詳しくは142回大会の項をご覧ください。 |
日本労働法学会は、労働法の研究及び会員の相互協力の促進等を目的として、1950年10月に創設され、現在まで75年に及ぶ歴史を積み重ねてきました。各大会で行われる報告や議論の内容は「日本労働法学会誌」に掲載され、研究成果を社会に発信する役割を担っています。また、本学会は、時代の節目ごとに、労働法学の理論的到達点を明らかにすべく、『労働法講座』(全7巻・1956-59年)、『新労働法講座』(全8巻・1966-67年)、『現代労働法講座』(全15巻・1980-85年)、『講座 21世紀の労働法』(全8巻・2000年)、『講座労働法の再生』(全6巻・2017年)を編集・刊行してきました。
当学会の研究対象である労働法の分野においては、社会経済状況の変化に伴い、法的対応が求められる様々な問題が生起してきました。かつては既存の法制度を前提に法解釈による議論が中心でしたが、1980年代半ばからは社会経済構造の変化や雇傭関係上の新たな価値の台頭に対応した新立法・法改正が相次ぎ、立法政策の重要性が増大してきました。今世紀に入ってからも労働市場の構造変化、情報技術の高度化、働き方や労働者の多様化、企業構造・行動の変化、想定外の事態ともいえなくなった自然災害やパンデミック等、雇用システムは大きな変化に直面しており、労働法学には、新たな労働政策上の課題が次々と提起されています。それのみならず、労働法がこれまで所与のものとしてきた労働者、使用者、事業、集団的労使関係などの基礎的概念をも再検証し、新たな労働法の在りようを検討すべき時代に入っているのかもしれません。
こうした労働法の課題に適切に向き合うためには、他の法分野、他の研究領域に学びつつ、労働法の存在意義、その果たすべき役割を再確認することが必要でしょうし、そのためにも基礎理論研究・歴史研究・比較法研究を踏まえた考察が要請されるでしょう。これらの学術活動は、研究者が単独に考究することによってなしうることには限界があり、研究者同士が様々な視点や思索を背景に、自由闊達に議論を交わすことによってこそ、研究の進展や深化も図ることができるでしょう。労働法学会は、まさにそのような労働法研究を志す者の交流の場、共同研究の場を提供するものです。
当学会における主な研究発表や議論の場としては、年1回の大会における大シンポジウム、ワークショップ、個別報告等が主なものです。報告者グループによる多角的かつ本格的な検討がなされる大シンポジウム、基礎理論的なテーマから実務と理論の架橋となるテーマまで、報告者・フロア相互間の自由闊達な議論が期待されるワークショップ、新進気鋭の研究者を中心に個々の研究成果を世に問う個別報告など、会員の問題関心に応じたメニューが用意されています。これらに参加することで、会員が相互に知的刺激を受け、新たな着想を得てそれぞれの研究を進化させ、あるいは共同研究の契機を発展させることなどを通じて、労働法研究の水準が一層高まっていくことが期待されます。
今後も、労働法学会が学会員にとっても社会にとっても有意義な存在であり続けるように、努力を重ねて参りたいと思います。